Yamadori

Yamadori 写真企画室ホトリ室長・山のおみやげクリエイターsaorinこと織田紗織と写真家川野恭子 によるリトルレーベル。
身近な自然、憧れの山をテーマに写真集やグッズを制作。
"Take only photos, Leave only footprints."

.山のおとも vol.17「数字の説得力」新緑美しい5月、仕事で四国へ行く機会があったので、二泊三日で剣山をソロ縦走することにした。四国の山というと、まっさきに石槌山を思い浮かべる。天空に突き出た峰が紅葉に染まる光景は有名で、写真で目にした...
31/05/2026

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山のおとも vol.17「数字の説得力」

新緑美しい5月、仕事で四国へ行く機会があったので、二泊三日で剣山をソロ縦走することにした。

四国の山というと、まっさきに石槌山を思い浮かべる。天空に突き出た峰が紅葉に染まる光景は有名で、写真で目にした人もいるだろう。一方の剣山は、石槌山と比較すると印象は薄かった(あくまで個人比)。なので、それほど登りたいとも思っていなかったのだが、なぜ登ることにしたのかというと、SNSで流れてきた写真に目が止まったからだ。

小さな池の畔に立つ、天空の山小屋。

ここはいったいどこだろう…と調べると、剣山から歩いて8時間先にある三嶺山だった。三嶺山までの縦走路は、四国随一の美しい稜線歩きを楽しめるらしい。ただ、公共交通機関で訪れるには非常にアクセスが悪い。剣山は百名山にもかかわらず、週末しかバスがない。そして、三嶺山の山小屋は避難小屋なので、宿泊するなら寝具・食料・水を持ち歩かなければならない。

こんな厳しい環境で、アップダウンのある8時間コースを歩ききれるのか?

若干不安もあったが、これまでの経験を振り返って「まあ、行けるでしょ」とゴーサインを出した。

話は変わるが、山に登らない人に「◯◯山に登るんです」という話をすると、「何キロ歩くのですか???」と質問されることがある。実は、山を歩く人にとってこの質問は答えがたい。なぜなら、距離より時間(ないしは標高差)で図るからだ。実際、山の地図にもコースタイムは書かれているが、距離は書かれていない。

なので、今回も詳細な距離を把握しないまま、縦走の旅を開始した。この旅の核心は二日目。初日の山小屋は営業小屋だったので、大盛りごはんをおかわりするなど、たっぷりご飯を食べ、ラッキーなことに個室だったので熟睡して体調は万全。青空も広がり最高のコンディションだった。

だが、日が上がるにつれて気温も上がり始めると、なかなかにしんどい。まだ5月なのに暑くて大量に汗をかく。しかし、水は最低限しか持っていないので、喉を潤す程度しか飲めない。

歩き始めて二時間ほどたったころ、「ああ、なんでこんな苦しい思いをしながら山を歩いているのだろう…」とゴーサインを出した過去の自分を責めた。若干心が折れながら歩を進めていると眼の前に道標が現れ、そこには

< 三嶺へ13.6km | 剣山へ3.4km >

と記されていた。
距離を具体的な数値で把握した途端、「うわ…」と声を上げてしまった。

数字は強い説得力を生む。だが、むしろ望まない方向に説得力が働き、知らないほうが良かった…と心の底から思った。この荷物でこの暑さで、「13.6km」は遠すぎる…。とはいえ、もうどうにもならない。8分の2は歩いたのだから、コツコツ歩けばなんとかなる。幸い、ダイエットしたおかげで、足の疲労はそれほどでもないのが救いだった。

なんとか三嶺山直下の急登を登りきり、避難小屋に到着すると、平日だったせいか私ひとりの貸し切りだった。「見えないもの」が見えてしまいそうな不気味さと、夜中に見知らぬ登山者が到着するかもしれない恐怖と、無事到着できたことへの安堵と、様々な思いが交錯しつつも、あまりの疲労具合に19時には就寝してしまっていた。なんだかんだ精神は図太い。

そして、翌朝。無事夜が明け、日が昇ると、あのSNSで見た景色が広がっていた。まさしくその光景は、頑張ってきた私へのご褒美だった。

なんというかもう…望んだ景色を見られたことで満足してしまった。当初はその先を歩こうと思っていたのだが、天候が下り坂だったこともあり、予定を変更して下山することにした。樹林帯を抜け、下山口である駐車場に到着すると本降りの雨で、下山して正解だったな…と思った。そして、忘れないうちに…とスマホを取り出してログアプリを停止した。すると、

「 距離23.4km のぼり1750m くだり2237m 」

と、全行程の数値が記録されていた。この数字を見て、「よく登ってよく歩いたな…お疲れ、自分。」と自分を褒めた。

ちなみにだが、富士山を登る場合、富士山吉田ルートで、距離15.6km、のぼり1629m くだり1614m になる。この数字を見ると、今回の山行がどの程度なのか想像できるのではないだろうか?

数字の説得力というものは大きいのである。

文:川野恭子
#山のおとも #山エッセイ #山で読みたい
#山歩き #山旅 山登り登山 ハイキング トレッキング mountain hiking trekking
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山のおとも vol.16「山友訪ねて 財布を忘れて」 2024年、夏の終わり。私・織田の山歴の中でもっともやらかしたのがこの事件である。yamadoriの相方・川野氏がこの年働く山小屋は、北アルプスの奥地にある黒部五郎小舎で、正直、今年訪ね...
13/05/2026

山のおとも vol.16「山友訪ねて 財布を忘れて」

2024年、夏の終わり。
私・織田の山歴の中でもっともやらかしたのがこの事件である。

yamadoriの相方・川野氏がこの年働く山小屋は、北アルプスの奥地にある黒部五郎小舎で、正直、今年訪ねるのは無理だと最初は思った。
2022年は薬師沢小屋、2023年は尾瀬の長蔵小屋。川野氏が働く歴代の山小屋に毎年突撃してきた。3年目となるこの年も、相方として突撃皆勤賞を狙っていた。が、しかし。
2日なら行けても3日となると天気やら仕事やらで一気にハードルが上がる。私の足では、さすがに黒部五郎へは2日で行けない。遊びに行くタイミングを逃したまま、8月も終盤になっていた。
今年は無理かなあと思いつつ、いや、やはり今年も行かないと絶対後悔する!と急にやる気に火がつく。台風が近づいていたが、直前に滑り込みで行けば何とかなるの精神で「天気悪いっぽいけど行くわ!」と川野氏にLINEし、猛烈な勢いで準備した。

当初の予定では2泊3日の小屋泊で、1日目は新穂高~鏡平小屋泊、2日目は鏡平~黒部五郎小舎泊、3日目だけ長いが黒部五郎から新穂高まで一気に下山という計画だった。
が、財布を忘れるというアホやらかしのおかげで、2日目はわさび平から黒部五郎まで一気に登るはめになる。

そもそも、ことの経緯はこうだ。
お金と免許証と保険証を完備した山財布を、山用サコッシュに移し忘れたまま出発する。
途中SAで飲み物を買うが、スマホ支払いのため財布を忘れていることに気づかない。
登山口の新穂高に到着し、意気揚々と歩き出す。1時間ちょっとのわさび平小屋で一応トイレに行っておこうと思い立つ。
思えばここが運命の分かれ目だった。いつもは寄らないのに虫の知らせだったかもしれない。ここでわさび平に立ち寄っていなければ、文無しのまま登山口から5時間以上かかる鏡平まで登っていたことになる。
トイレのお金を払おうとしたら財布がない。ここで家に財布を忘れてきたことに気づく。織田、あまりの衝撃に一人で笑っていた。

わさび平小屋は電波が入らず、意気消沈しながらコースタイム6割の早さで駐車場まで戻った。途中電波が通じ、家族に財布を忘れたので家に帰る旨の連絡をした。
しかし、急にとある事実を思い出したのである。
そういえば愛車にはへそくりがあったような…あったー!

今から予約していた鏡平まで行くのは正直きついが、わさび平小屋に予約し直して川野氏にお金を借りれば行けるんじゃないか?
というわけで、川野氏にLINE。無論、既読つかず。
しょうがないので2時間ほど車で仮眠(ふて寝ともいう)ちらちらスマホを確認するが既読がつかないので、背に腹は代えられんと小屋に直電した。
「織田と申しますが、川野さんいますかー?」
最初に電話に出た小屋の方の訝し気な対応が忘れられない😂

「川野氏ー!!お金かしてけろー!」
「い、いいよ」
「神ー!」

こうして勤務中の川野氏と直に話せてお金を借りる算段がつき、山行の続行が確定したのである。

わさび平に宿泊予約をし直し、再び歩いて到着。正直こんなことなければ泊まる機会がない小屋だが、お風呂があって何だか居心地がよかった。あと素泊まりが7500円 (当時)、安くて助かった!(チューハイ買えた)
それにしてもこの初日のどうでもいい新穂高~わさび平の1.5往復がめちゃめちゃ疲れた。

小屋で改めて地図を見たら、わさび平~黒部五郎、10時間近いコースタイムで軽く絶望するも、がんばる決意を新たに爆睡。
自分の体力を信頼していないので早朝に出発。途中の鏡平ではかき氷など魅力的なあれこれがあったけど、お金がなくて何も買えない。

この日の天気はいまいちな予報だったが、双六あたりから晴れ間が見え、三俣蓮華岳山頂からの眺望は素晴らしかった。あの天気予報は何だったんだ!あきらめずに来てよかったー!
正直、この年の上半期は多忙による体調不良で、自分の体力に今一つ信頼が持てなかったんだけど、今回はがんばれた!
川野氏の働く黒部五郎小舎の赤い三角屋根が見えてきたときは感動で胸がいっぱいになった。ていうか本当に遠かった😂

今度働く時はもっと近い小屋でお願いします😂

文:織田紗織
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.山のおとも vol.15「山と食欲と私」桜が満開になったある日。ふと思い立ち、生藤山から高尾山を縦走した。生藤山は、神奈川県最北端に位置する標高991mの山で、山頂は東京都の奥多摩側にある。ここから高尾山へと向かうと、総距離25km、累計...
07/04/2026

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山のおとも vol.15「山と食欲と私」

桜が満開になったある日。
ふと思い立ち、生藤山から高尾山を縦走した。

生藤山は、神奈川県最北端に位置する標高991mの山で、山頂は東京都の奥多摩側にある。ここから高尾山へと向かうと、総距離25km、累計標高1500mほど歩くことになる。縦走としてはかなりのロングコースだが、それでも歩きたかった。

なぜなら「食べたいから」である。

実はこの冬、無邪気にアイスクリームを食べすぎたせいで、臨月間際の体重になってしまった。いつもなら多少増えても仕方ないと看過するが、2月末にトークイベントを控えていたこともあり、「これはさすがにまずい…」と思った。そのような理由で本格的なダイエットに取り組んだのだが、ここまでのダイエットは結婚式前以来だ。

2ヶ月まじめに取り組んだことで減量には成功した。だがしかし、空気で太れる更年期。減量後の体重を維持するには運動と摂取カロリーの管理は欠かせない。それでもやはり、たまには思いっきり食べたい欲求に見舞われてしまう。

というわけで、生藤山から高尾山までのロングコースを歩くことにしたのだ。

奥高尾エリアの縦走といえば、陣馬山から高尾山まではよく歩いていた。それこそ、北アルプスの縦走を目標にしていた初心者のころ、縦走練習として歩いたのもこのコースだった。

このコースが良いのは、ゴールを高尾山に設定することで日没間際の下山でも観光客が多く、遭難しにくい点があげられる。また、エスケープルートが多いので無理だと判断したら途中で下山するのも可能だ。そして何より、経由地となる陣馬山や小仏城山の山頂に茶屋が存在するので、美味しいものを食べることを目標に歩ける。景色は期待できなくても、食欲は十分満たすことができる。最高じゃないか。

折しも桜のシーズン。桜や新緑のおかげで長距離でも飽きることなく歩くことができた。ダイエット中の裏山トレーニングの成果もあってか、さほど疲労感を感じることもなかった。まあ、食べたいものを食べたいだけ摂取したことでエネルギーに満ち溢れていたからかもしれない。結局のところ「花より団子」なのである。

さすがにアルコールの摂取は控えたが、シュークリームに大福、ポテトチップスなど、ここ最近我慢している菓子類をたらふく食べた。それでも恐らく、カロリーゼロ理論が通用するくらいにカロリーを消費していたと思う。いやはや、山も食も楽しめるなんて最高じゃないか。

ただ、ここまでストイックに取り組んでいると、いつかリバウンドしそうで恐ろしいのも事実だ。もし将来、生藤山から高尾山まで縦走していたら、そのときは察して欲しい。
文:川野恭子
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.山のおとも vol.14 「スタートの上高地、ゴールの上高地」上高地は、私にとってずっとスタートの地だった。まだ暗いうちに起床し、なるべく音を立てないようにごそごそ準備して、東京の自宅を出発する。我が家から高速ICは5分くらいで、くねくね...
04/03/2026

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山のおとも vol.14 「スタートの上高地、ゴールの上高地」

上高地は、私にとってずっとスタートの地だった。
まだ暗いうちに起床し、なるべく音を立てないようにごそごそ準備して、東京の自宅を出発する。我が家から高速ICは5分くらいで、くねくねとした首都高を経て中央道に乗る。
その日が晴天だと、まぶしい日の出をバックミラーから浴びることになる。
早朝の中央道はたいてい空いていて、一人だと大体考え事をしている。運転のおともに珈琲は欠かせない。
岡谷ジャンクションをようやく通過し、長野道に入る。松本インターを下りて、さらにそこから車を走らせること約1時間、ようやくさわんどバスターミナルに到着する。
ここまで約4時間。けっこう遠い。
そして、上高地までのマイカー乗り入れはできないため、ここからバスに乗り換える。
さわんどから30分バスに揺られ、ようやく上高地に到着。始発のバスに乗っても、上高地到着は8時を過ぎる。
とまあ、なんだかんだで到着までなかなか時間がかかる上高地だ。他にはもっと果てしなく遠い登山口もあるけれども、それでもやはり上高地に行くとなると気合いがいる。

そしてそれでも、上高地は私にとってスタート地なのだ。

翡翠色の雪解け水が流れる梓川が美しい5月。ニリンソウも咲き乱れていて、私が一番好きな季節だ。
カラマツが黄金に輝く秋。一度閉山ぎりぎりのタイミングで登ったら、はるか高い山肌には雪、途中の樹々は紅葉の黄色と橙、上高地のふもとはまだ緑の樹々と、いわゆる三段紅葉を見ることができた。
GWはまだ残雪で、上高地から横尾を経て、まだ完全に雪山状態の涸沢まで登った。日焼け止めを一部塗り忘れて横顔に変なラインが入った。
徳澤から長い尾根を経てたどり着く、蝶ヶ岳の北アルプスオールスターズとの対面も楽しい。

どれも上高地で、よく知っている場所だった。どの季節も美しい。けれども、どの上高地もスタート地なのだ。いつもあわただしく、ゴールへの出発点として最初に通過するだけの上高地。

上高地はよく知っているつもりだったが、一つだけ見たことのない景色があった。
閉山後の、静かな雪の上高地だ。

半ば自分が行きたくて、自身のギャラリーである写真企画室ホトリと松本のゲストハウス対山荘とで、フォトウォーク合宿を企画した。
事前にバスを予約し、対山荘に前泊。沢渡まで車で行き、そこから中の湯までバスで10分。そこから釜トンネル、上高地トンネルを抜け、大正池を歩く。いつもはバスの中からアナウンスを聞く場所だ。天気がよく、風が凪であれば池に穂高が写りこんできれいだ。

ひたすらもくもく足を動かし、ようやく着いた。河童橋だ。

見慣れた光景が、一面雪に覆われていた。

人が少ない。外国人観光客がいない。店もやっていないし、大型バスもない。駐車場はふかふかの雪原だ。

それでも、そこはまぎれもなく上高地だった。
みんなで雪が積もったベンチに腰かけ、持参したお昼を食べる。少し撮影してからすぐに引き返す。本当はもっとゆっくり撮りたかったが、急ぎ足で戻らないと帰りのバスに乗り遅れることになる。

最後の釜トンネルをほぼ競歩状態で歩き、バスに無事乗ることができた。

今度はいつもの季節に、ゆっくり上高地を歩くのもよいかもしれない。
上高地は、スタートでもありゴールでもあるのだから。

文:織田紗織
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.山のおとも vol.13「チバンドキャニオンの中心で懺悔した話」正直、千葉県というと「山」のイメージがない。千葉県最高峰の愛宕山は標高408mしかないし、平均標高も全国で一番低い。なので、千葉県には申し訳ないけれど、鋸山以外に山を楽しめる...
03/02/2026

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山のおとも vol.13
「チバンドキャニオンの中心で懺悔した話」

正直、千葉県というと「山」のイメージがない。千葉県最高峰の愛宕山は標高408mしかないし、平均標高も全国で一番低い。なので、千葉県には申し訳ないけれど、鋸山以外に山を楽しめるイメージがない。

そんな感じで、私のなかで山の魅力がダントツに低い千葉県だったが、ここ最近気になる山域があらわれた。

それは、「チバンドキャニオン」である。

SNS経由で存在を知ったのだが、グランドキャニオンを思わせる景観に「千葉県にこんな面白い場所が…!!」と俄然興味がわいた。

調べてみると、千葉県の「小鋸山」直下に広がる採石場跡で、採石によって削り出された山肌と地形がグランドキャニオンを思わせることから名付けられたらしい。

さっそく登山アプリでルートを調べ、鋸山からチバンドキャニオンを目指した。鋸山まではそこそこ登山客を見かけるのたが、その先はほとんど人の気配がない。登山道の状況を見ても、話題になるまでは歩く人は少なかったのだろう。

地元の低山らしく、ピンクテープや踏み跡を探しながら進んでいく。むしろそれが冒険的で楽しい。そして、熊が生息していないというのが何よりありがたい。

小鋸山のピーク前後は、(設置された)ロープを頼りにせざるを得ない箇所もあったが、無事にたどり着いた末の壮大な景観に驚いた。

自分の目で見るまでは「写真の妙かもしれない」と思っていたけれど、ちゃーーーんと「チバンドキャニオン」だった。

こんな低山の山奥に突如異世界が現れることに「やっぱり山って面白いな」と思うと同時に、千葉県に謝らなければ…とも思った。

「 ”鋸山以外に山を楽しめるイメージがない。” なんて言ってごめんなさい。 」

2026年1月末日、チバンドキャニオンの中心で懺悔した川野だった。
文:川野恭子
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.山のおとも vol.12 「暗室ことはじめ」新年最初のエッセイということで、昨年新しく始めたこと、暗室について。ここ数年、フィルムで再び山を撮っていることについては書いたが、昨年、新たに暗室を始めた。(※暗室とは何ぞや?については文末にて...
03/01/2026

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山のおとも vol.12 「暗室ことはじめ」
新年最初のエッセイということで、昨年新しく始めたこと、暗室について。

ここ数年、フィルムで再び山を撮っていることについては書いたが、昨年、新たに暗室を始めた。(※暗室とは何ぞや?については文末にて)

暗室手焼きはもともと知っていたが、写真を始めた頃は微塵も興味がなかった。そもそも、モノクロ写真を撮るのに魅力を感じなかったからだ。世界には色があるのに、なぜ白黒なのだ?
けれども、ここ数年はモノクロフィルムで山を撮ることに夢中になった。

フィルムをカメラに装填する。
露出を測りながら撮影する。
撮り終えたら現像に出す。もしくは自家現像する。
撮り終えたフィルムを、暗室で手焼きプリントする。

その手焼きも、一発で完成形に至ることはまれだ。段階露光というテストを繰り返して、さらに調整を重ね、ようやくゴールに近づく。
が、焼く時にフィルムに埃がついていたら、そのままプリントにゴミとしてあらわれるので修正が必要だ。あーあ。きっちり埃を吹き飛ばさなかったからである。つい横着してしまったことがそのまま結果になる。
こんなのはデジタルではいくらでも処理できるのに、アナログだとこういうことが起こる。しょうがないので、あとからスポッティングという修正作業を行う。

これでようやく最終的な作品プリントが完成する。

デジタルで、RAWデータで撮っていたら、現像作業は全てパソコンだ。
これはどっちが大変だとか、そういう話ではない。
が、私にとってはアナログ作業の方がはるかにめんどくさい。
でもそのめんどくささこそが、私にとって価値ある過程なのだと思う。

いくつかのアナログなプロセス、すなわち儀式を経て生まれたプリントには、時間をかけた物としての付加価値が加わるような気がする。
だが、気がする、だけである。正直、自己満足の世界である。つまり私だけの価値観だ。
私は手焼き至上主義ではない。そもそも超がつくほどの初心者である。
暗室のプリントだけが作品である、とは微塵も思っていない。
実際、下手くそな私の手焼きよりも、プロによるインクジェットの方がよほど美しい可能性は高い。
しかし、同じものをいくらでも量産できるデジタルから生まれたものよりも、フィルムで撮って、自分自身の手で生み出したアナログなプリントの方が、私にとってはよほど愛おしい。
自分にとって価値のある作品を生み出している、そんな風に思えるのだ。

※暗室とは
写真フィルムや印画紙の現像、プリントの引き伸ばしなどのために用意された暗い部屋のこと。このエッセイでは、白黒フィルムで撮影された写真を印画紙にプリントする過程について話している。

文:織田紗織
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.山のおとも vol.11「解像度」写真家という仕事柄、あちらこちらを旅してきた。取材で訪れるとなれば、気になるお店や美味しいものだけでなく、歴史や文化の下調べも欠かせない。前もって勉強しておくと旅の前後でその土地に対する感じ方が変わるし、...
20/12/2025

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山のおとも vol.11「解像度」
写真家という仕事柄、あちらこちらを旅してきた。取材で訪れるとなれば、気になるお店や美味しいものだけでなく、歴史や文化の下調べも欠かせない。前もって勉強しておくと旅の前後でその土地に対する感じ方が変わるし、解像度が上がる。それが面白いのである。

だが、山に登るようになってからはさらに、解像度が上がったと感じる。

ついこのあいだ、晩秋の小豆島に訪れた。小豆島には日本三大渓谷美と呼ばれる「寒霞渓(かんかけい)」がある。寒霞渓の頂までは車やロープウェイ、表十二景・裏八景という遊歩道で登ると辿り着ける。

じつは、寒霞渓には知る人ぞ知るバリエーションルートが存在する。岩尾根を歩くルートなのだが、遊歩道より、ロープウェイより、ずっと近くに自然を感じられる。それだけではない。高い場所から見下ろすことで土地の形や地理を把握できる。さらに加えれば、登攀時に岩を掴むことで自然をダイレクトに感じられる。

小豆島は5年ほど前にも訪れたことがあるのだが、そのときは有名観光地やお店を訪れるにとどまった。それだけでも楽しめたが、今回、寒霞渓や山岳霊場に登ったことで小豆島に対する解像度がさらに上がったし、本当の意味でその土地に触れた気がしている。

山に登れるからこそ見られる景色、山に触れるからこそ感じられる大地。視覚と触覚が加わることで、その土地の解像度がぐっと上がる。山に登れると旅はもっと楽しくなる、ということを、山に登るようになって気付いた。

文:川野恭子
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.山のおとも vol.9「”好き”との距離感」先日、秋色の尾瀬を歩いてきた。今年はどこも紅葉の色づきが良いらしく、尾瀬も例外ではなかった。太陽の日差しに呼応するかのように、色とりどりの葉が輝く。湿原だけではなく、山肌までも紅葉に染まった尾瀬...
24/10/2025

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山のおとも vol.9「”好き”との距離感」
先日、秋色の尾瀬を歩いてきた。

今年はどこも紅葉の色づきが良いらしく、尾瀬も例外ではなかった。太陽の日差しに呼応するかのように、色とりどりの葉が輝く。湿原だけではなく、山肌までも紅葉に染まった尾瀬を見るのは初めてだったせいか、歩みが軽やかに感じられた。

山小屋に住み込みで働いたり、テレビロケで訪れたり、色々な視点で尾瀬を見てきたけれど、通うほどに尾瀬が好きになっていく自分がいる。

山小屋に数ヶ月住むことで感じる季節の移ろいや肌感覚も大事だけど、少し距離を置くことで見えてくることもある…と最近は思う。俯瞰することで見えてくる物事の真意。日本を外から見ると良さが分かる、というアレだ。

山もそうで、富士山や槍ヶ岳など、好きな山ほど離れてみるほうが美しいと感じる。その山にいると見えない外郭が見えてくる。

人もやはりそうで、好きな人との距離感は大事だと感じる。家族であれ友人であれ、少し離れることで相手を大事にしようと思える。

好きなものほど距離感が大事、だなんて私も大人になったものだ。年齢だけは十分に大人なので笑わずにはいられないが、急がずゆっくり、程よい距離感で好きと向き合う。それが良いのである。モノもコトもヒトも。
文:川野恭子
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山と写真と珈琲展 at 暮らしと珈琲 レポートhttps://x.gd/IiDOqこんにちは。yamadori織田です。暮らしと珈琲さんで開催されていた展示「山と写真と珈琲展」のレポートをお届けします。おいしい珈琲を飲みながら山の世界に浸る...
22/08/2025

山と写真と珈琲展 at 暮らしと珈琲 レポート
https://x.gd/IiDOq

こんにちは。yamadori織田です。

暮らしと珈琲さんで開催されていた展示「山と写真と珈琲展」のレポートをお届けします。

おいしい珈琲を飲みながら山の世界に浸る…そんな山小屋みたいな体験みたいに感じてもらえていたらうれしいです!

yamadoriは、ホトリ室長織田と、写真家川野恭子氏の二人によるレーベル。
昨年共著で上梓した『山の辞典(雷鳥社)』 の出版記念展「山の辞典展」の巡回展として開催させていただきました!

またyamadoriで楽しい企みをしていきますので、ぜひチェックしてくださいね。(Instagramもやってます!)

山と写真と珈琲展 at 暮らしと珈琲 レポートby yamadoriEVENT, EVENT / レポート08/22/202508/22/2025 こんにちは。yamadori織田です。7月~8月の1か月ほど、織田が主宰するギャラリー・写真企画室ホトリと同じ浅草橋にある、珈琲スタンド...

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22/08/2025

山と写真と珈琲展 at 暮らしと珈琲 レポート
https://x.gd/IiDOq

こんにちは。yamadori&ホトリ室長織田です。(同時に、写真企画室ホトリのFBページにもUPしています)

暮らしと珈琲さんで開催されていた展示「山と写真と珈琲展」のレポートをお届けします。

おいしい珈琲を飲みながら山の世界に浸る…そんな山小屋みたいな体験みたいに感じてもらえていたらうれしいです!

yamadoriは、ホトリ室長織田と、写真家川野恭子氏の二人によるレーベル。
昨年共著で上梓した『山の辞典(雷鳥社)』 の出版記念展「山の辞典展」の巡回展として開催させていただきました!

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