04/08/2026
『My Approach』 プロの凄みに触れる
航空評論家 松崎 豊一
久しぶりに凄いとしか言いようのない写真集に出会った。制作者の瀬尾央氏といえば軍用機空撮日本人写真家の先駆者の一人であり、撮影意欲の熱さと腕の確かさから、長年にわたって日本の空撮第一人者の地位を保ち続けてきた人物である。
本書はその瀬尾氏が、ご自身の空撮人生の集大成とするべく作り上げた一冊であるから、面白くないわけがないといえよう。まず驚かされるのは、空撮に限らず常に飛行機撮影への敏感なアンテナを張りめぐらし、少しでも面白い写真が撮れそうだという情報が引っ掛かれば、後は猪突猛進あるのみ、だったということ。ひたすら関係諸機関・諸人物への猛アタックとなるのだが、一所懸命な彼には不思議に人を惹きつける何かがあったとみえて、空撮が実現してしまうケースが多かったことが本書の中に垣間見える。
こうしたアプローチがあってこそ、70年代から80年代にかけて、すでにANGや予備役配備となって退役時期に近かったセンチュリー・シリーズの米本土における貴重なカラー画像を多数残すことができたといえる。ついでながら収録機種をざっとご紹介すると、米空軍機が最も多く、センチュリー・シリーズ(実用化された全機種)から始まって、F-22、,F-35の第5世代戦闘機まで、爆撃機がB-52、B-1A/B(B型試作機となったA型空撮は貴重)、B-2A、プラスU-2、SR-71、A-10など。海軍/海兵隊機は第3世代から第5世代までの戦闘機、及び同時期の攻撃機、プラスAV-8といったところ。これらの中で、F-104、F-4、F-15、F-35については航空自衛隊機も採り上げられている。
掲載写真のクォリティは、と言われればこれはもう実際に見て納得して頂くしかないが、とにかく息を吞むようなショットの多いことは間違いない。空撮を強調してきたが、瀬尾氏はアメリカ・デスバレーにも頻繁に出張しており、地上からも驚愕のショットを多数モノにしていることが分かる。
なお本書の発行元はJAAP(日本航空写真家協会)であって、本書が会員や写真展応募者・展示者の作品発表の場ともなっていることから、瀬尾氏以外のフォトグラファーによる作品も含まれており、有能な若手が多数育っていることを実感させられる。
解説は全て瀬尾氏が担当している。写真集に良くある撮影時の苦労譚を極力排し、楽しかった思い出を語っているのが好ましく、機体についての解説も適度な詳細さを保っていて読みやすい。